Dr.熊猫のニーハオ景徳鎮!
歓迎光臨(ようこそいらっしゃいました)。ここでは自称景徳鎮の達人Dr熊猫が現地での体験や |
上海より中国国内線の旅客機で飛ぶこと1時間少々、目指す景徳鎮の飛行場に到着します。随分と便利になりました。というのも、Dr熊猫が最初に訪ねた10数年前は、まだ飛行場が未完成で、上海からの列車便の時間も悪く、一旦江西省の省都である南昌市までロシア製のイリューシンジェットで飛び一泊。翌朝迎えの車で出発し、6〜7時間田舎道を揺られるという苦行を強いられながら、さらに道中、交通事故に巻き込まれ車が大破、折から通りがかった景徳鎮行きのオンボロバスに拾われるというハプニングのおまけまで付き、結局到着したのは陽もとっぷりと暮れた夜の9時過ぎでした。
当時はこの地まで足を運ぶ日本人の旅行者はごく稀でしたが、上海からの直行便の就航で、近在の観光名所<黄山>観光を兼ねて景徳鎮を訪れる観光客も、近頃では目立つようです。ただ、近年日本の市場を席巻している”メイドインチャイナ”、いわゆる一般流通の商品供給地としては確立されてなく、そういった商談に訪れる日本人はあまり見かけません。そういった陶磁製品は沿岸部の都市で生産されることがほとんどで、やはり景徳鎮製の磁器は工芸品としての比重が高いようです。
一般に景徳鎮磁器の特徴は、青花(チンファ)と呼ばれるコバルトの顔料を使った下絵付け、日本では有田焼などに多くみられるいわゆる<染付け>の技法でしょうか。また、下絵付けで紅色の顔料を用いる釉裏紅(ゆうりこう)も、この青花と同じ技法を用いていますが、下絵付けつまり顔料で絵付けをした上から、上薬(釉薬)をかけて焼くために、とくに紅色を鮮やかに出すのは非常に難しく、作家の長年に渡る努力と研鑽を必要とします。故に釉裏紅の作品は、ことに珍重される理由となっています。
色鮮やかな絵の具を用いて、人物などを描いた壷や皿を、中国や香港のみやげ物店で見かけることがありますが、あれも景徳鎮独特の技法で、粉彩(ふんさい)といわれます。日本でいうと九谷焼のあの鮮やかな絵付けがそれに類するもの、と考えていいかと思いますが、焼き物の源流をリサーチするのがここでの本旨ではありませんし、専門家によるいろいろな調査研究もなされていますので、あくまでも絵付け全体のイメージからの対比、という事をご了解くださいませ。
日本で国の重要無形文化財、いわゆる人間国宝に指定された陶芸作家がおられるように、中国でも<中国工芸美術大師>の称号を得た人間国宝が、数ある作家のなかから稀の指定を受けており、その半数以上がやはりこの在景徳鎮の作家であるという事は、陶磁器の故郷を自他ともに認めるこの地の面目躍如といえましょう。
中国の陶芸家は、その資格を国家により認定されます。したがって国家資格を得た作家が、工芸美術師、高級工芸美術師、そして中国工芸美術大師となっていきます。(他には、省単位での工芸美術大師の称号もありますが、これは日本でも○○県の重要無形文化財・・といった形で同様なものがあります)
また工芸美術師以上の作品には、その作品毎に証書が発行されることになっています。したがって、作家作品には必ず国の発行する証書が伴っているのが原則で、その証書には作家のサインと顔写真が添えられており、そこまでする?とDr熊猫は思うのでありますが・・・まあ、お国柄でありましょう(笑)。
作品の裏側に作家名を記入できるのも、資格を得た工芸美術師以上の特権で、まだ資格を得ていない若手や、職人が作る量産品では、裏面には、<景徳鎮>としか書かれていませんので、これが一番簡単な見分け方となっています。さらに、人間国宝クラスとなれば、堂々と作品前面に銘を記すことが許されているようです。
![]() 名作展へ |
![]() |